福塩線に関する豆知識

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

福塩線(ふくえんせん)は、広島県福山市福山駅から広島県三次市塩町駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線地方交通線)である。

路線データ

福山駅 - 府中駅間は岡山支社せとうち地域鉄道部、府中駅 - 塩町駅間は広島支社三次鉄道部の管轄である(境界駅である府中駅は岡山支社の管轄であり、府中駅上り場内信号機が支社境界となっている)。日本国有鉄道(国鉄)時代は塩町駅構内を含む全線が岡山鉄道管理局の管轄だった。なお、岡山支社管内・広島支社管内とも、独自に設定されているラインカラーは桜桃色()であるが、2016年春から岡山支社管内ではラインカラーに紫色()、路線記号にZが設定される予定である。 福山駅 - 神辺駅間はIC乗車カードICOCA」の岡山・広島エリアに含まれている。

沿線概況

横尾駅 >|}} 河佐駅 >|}} 備後三川駅 >|}}
福山駅では福山城に隣接した7・8番のりばから発車している。わずかに山陽新幹線山陽本線と併走したのち、高架から地上に降りて進路を右に変えて北上を始める。線路の両側に広がる住宅街の途中に備後本庄駅があり、芦田川の左岸を走行する。横尾駅を出ると、芦田川と分かれて神辺駅に至る。神辺駅では井原鉄道井原線が分岐しているが、高屋川を渡った先まで単線並列の線路が続く。井原鉄道が分かれていくと、まもなく国道486号をくぐって左にカーブして湯田村駅につく。湯田村駅から進路を西に変えて、道上駅万能倉駅駅家駅近田駅と住宅地がまばらに建っている田畑の中を進んでいく。近田駅付近から再び芦田川の左岸を走行する。次第に両側から山が迫るようになるが戸手駅付近から住宅地が再び目立つようになる。上戸手駅を過ぎて新市駅から府中市に入り、高木駅鵜飼駅を過ぎると、運転系統上の境界駅である府中駅に着く。 府中駅までは電化されているが、府中駅からは電化されておらず、気動車によって運転されている。府中駅を出ると芦田川を渡って右岸に移り、川に沿いながら山間部に入っていく。山間部の線形条件が低く、曲線半径も小さく速度を落として運転せざるを得ない場所や、雨規制によって徐行運転を行う区間も多い。下川辺駅から再び北上を始め、中畑駅を過ぎて左へカーブしてトンネルをくぐると、河佐駅に着く。山が開けて住宅地が目立ち、府中方面からの列車が折り返す時代もあったが、現在その列車は設定されていない。 河佐駅を発車し、諸毛トンネルを抜けると右手にはキャンプ場がある。その先で進路を右に変え、芦田川を渡って全長 6,123m の八田原トンネルを抜けると、すぐに備後三川駅に到着する。河佐駅 - 備後三川駅間のほとんどは八田原ダムの建設によって線路が新線に切り替えられた。旧線の一部はキャンプ場の遊歩道などに転用されており、若谷山トンネルの入り口まで行くことができる。旧線には八田原駅があったが、新線への切り替えにより廃止され、現在はダム湖の湖底に沈んでいる。備後三川駅から国道432号に沿い、備後矢野駅を過ぎると上下駅に到着する。かつての上下町の中心にあり、江戸時代石見銀山から瀬戸内海へ抜ける銀山街道の宿場町の一つであった。次の甲奴駅もかつての甲奴町の玄関口として位置づけられていた。 山間にある梶田駅備後安田駅を過ぎて、吉舎駅から国道184号に沿いながら三良坂駅を過ぎ、右手から芸備線が寄ってくると塩町駅に到着する。 ファイル:Fukuen.seigen.JPG|15km/h以下の速度制限がかけられた箇所(塩町駅 - 三良坂駅間) ファイル:Geibi-Fukuen junction.jpg|芸備線との分岐点。右が福塩線。

運行形態

運転系統は電化区間の福山駅 - 府中駅間と非電化区間の府中駅 - 塩町駅間の接続点である府中駅で完全に分断されている。そのため、電化区間は福塩南線、非電化区間は福塩北線と通称される。国鉄時代の1986年10月31日までは福山駅から芸備線三次駅まで直通する定期列車が2往復設定されていたほか、1991年まで芸備線・木次線経由三井野原行きのスキー列車の設定があった。 普通列車のみが運転されている。一時期は快速列車の設定があったが、施設上の問題で快速運転の効果が十分でなく、1991年ごろには廃止された。特急・急行列車(優等列車)が設定されたことは一度もない。朝夕は4両編成で車掌が乗務し、日中はすべての列車が2両編成でワンマン運転を行っている。

福山駅 - 府中駅間

福山駅 - 府中駅間の運転が基本であり、1時間あたり1 - 2本の列車が設定されている。日中には福山駅 - 万能倉駅間の区間列車も設定されている。2008年3月改正から、山陽本線岡山駅まで直通する列車も設定されており、2015年6月20日時点では下り1本・上り2本の山陽本線直通列車のうち夕方の下り1本が和気発府中行き、朝と夜の上り各1本が府中発岡山行きとなっている。 また、日付を越えて運行する列車は設定されていなかったが、2003年10月1日のダイヤ改正で最終列車の繰り下げにより設定されている。 福山駅 - 神辺駅間では井原鉄道井原線に直通する列車が3往復運転されている。

府中駅 - 塩町駅間

この区間のすべての列車が塩町駅を越えて芸備線三次駅まで乗り入れている。また、芸備線からの直通列車として1日2本のみ広島発府中行きがある。運転本数は朝夕の6往復のみで6時間以上運転のない時間帯がある。以前は日中の1往復は奇数月の第3水曜日に運休しバス代行運転を行っていたが、2012年3月17日のダイヤ改正でこの時間帯に列車の設定そのものが沿線高校などのテスト日程に合わせた指定日運行化されている。 以前は吉舎駅・河佐駅折り返しの区間運行があり、21時台に三次駅から上下駅までの列車があったが、2002年3月23日のダイヤ改正ですべて廃止された。 トイレが設置されていない列車があったが、2007年に全列車に設置されている。

使用車両

現在

福山駅 - 府中駅間の電化区間はほとんどの列車に電車が使用されている。主に岡山電車区105系および115系が使われている。2006年3月のダイヤ改正以降は、105系の一部運用に同区の103系が運用されることもあった。このほか、福山駅 - 神辺駅間では井原鉄道の気動車であるIRT355形も運用されている。 府中駅 - 塩町駅間の非電化区間では気動車が使用されており、全列車が下関総合車両所広島支所のキハ120形である。 ファイル:Mc105-29.jpg|電化区間で使用される105系 ファイル:Kiha120-fukuen-line.jpg|非電化区間で使用されるキハ120形

過去

; 蒸気機関車 :1933年11月福塩北線が開通すると広島機関区備後十日市分庫が設置され機関車は230形が使用された。そして1935年11月上下駅まで延伸すると230形と1000形が使用された。また福塩南線は1935年12月の改軌時に貨物列車のために糸崎区の1150形が使用された。1938年7月の福塩線全通により備後十日市区のC56形及び8620形が使用されるようになった。しかしC56形は1941年に軍事供出によりいなくなりかわりに8620形が増備され蒸気機関車全廃まで使用された。1961年6月1日より旅客車はディーゼル化され貨物列車のみとなり、その貨物列車も1970年9月30日限りでDE10形ディーゼル機関車に置き換えられた。 ; 電化区間 : ; 非電化区間(過去の福山直通列車を含む) : ; 国有化前(両備軽便鉄道・両備鉄道時代)

歴史

改正鉄道敷設法別表第91号に掲げる予定線の一部として両備鉄道を買収、国有化し、延長したものである。国有鉄道が保有した唯一の電気運転を実施する軽便鉄道特殊狭軌線)であった。列車は電気機関車による牽引でのみ運行され、電車は製作されなかった。国有化後に改軌・改築され、現在の姿となった。 1989年には、芦田川八田原ダム(1998年竣工)を建設するために、河佐駅 - 備後三川駅間が八田原トンネル(全長6,123m)経由の新線に付け替えられ、同区間の旧線上にあった八田原駅が廃止された。

両備軽便鉄道→福塩南線

  • 1911年(明治44年)
  • *8月21日 鉄道免許状下付(福山-高屋、川南-府中間)。
  • *12月12日 両備軽便鉄道株式会社設立。
  • 1914年大正3年)
  • * 7月21日両備軽便鉄道 両備福山駅 - 府中町駅間(13.7M≒22.05km)が開業。軌間762mm
  • ** 両備福山駅・横尾駅・神辺停留場・湯田村停留場・道上停留場・万能倉駅・駅家駅・近田駅・戸手停留場・両備天王駅(現在の上戸手駅)・新市駅・高木停留場・鵜飼停留場・府中町駅(現在の府中駅)が開業。
  • * 11月20日 胡町停留場が開業。
  • 1915年(大正4年)5月4日:吉津停留場が開業。
  • 1920年(大正9年)6月29日:道上停留場が道上駅に変更。
  • 1922年(大正11年)4月9日:両備軽便鉄道高屋線として神辺駅 - 高屋駅間が開業。
  • 1923年(大正12年)1月12日:鵜飼停留場が鵜飼駅に変更。
  • 1925年(大正14年)1月12日:戸手停留場が戸手駅に変更。
  • 1926年(大正15年)6月26日:両備軽便鉄道が両備鉄道に改称。
  • 1927年昭和2年)6月25日:両備福山駅 - 府中町駅間電化(直流750V)。
  • 1930年(昭和5年)
  • * 4月1日:営業距離の単位をマイルからメートルに変更(13.7M→22.0km)。
  • * 11月14日昭和天皇の陸軍大演習統監のため、道上駅 - 万能倉駅間に正戸山臨時乗降場がこの日のみ開設される。両備福山駅 - 正戸山駅間では軽便鉄道としては史上唯一のお召し列車が運転された。
  • 1933年(昭和8年)
  • * 9月1日:両備鉄道の両備福山駅 - 府中町駅間が国有化、福塩線となる。停留場が駅に変更。両備天王駅を上戸手駅に改称。
  • ** このとき、両備鉄道のうち非電化であった高屋線神辺駅 - 高屋駅間は買収の対象から外れ、神高鉄道に譲渡され、1940年(昭和15年)に井笠鉄道神辺線となったが1967年(昭和42年)に廃止となっている。
  • * 11月15日福塩南線に改称。
  • 1934年(昭和9年)
  • * 6月15日:神辺駅 - 湯田村駅間に高屋川仮信号場が開設。
  • * 9月21日:高屋川仮信号場が廃止。
  • 1935年(昭和10年)12月14日:横尾駅 - 府中町駅間を軌間1067mmに改軌 (-0.2km)。福山駅 - 横尾駅間を新線に付け替え (+1.8km)、既設の福山駅に乗り入れ。両備福山駅・胡町駅・吉津駅が廃止。

福塩北線

  • 1933年(昭和8年)11月15日:福塩北線 田幸駅(現在の塩町駅) - 吉舎駅間 (10.7km) が開業。三良坂駅・吉舎駅が開業。
  • 1934年(昭和9年)1月1日:田幸駅が塩町駅に改称。
  • 1935年(昭和10年)11月15日:吉舎駅 - 上下駅間 (17.0km) が延伸開業。備後安田駅・甲奴駅・上下駅が開業。

全通以後

  • 1938年(昭和13年)7月28日:府中町駅 - 上下駅間 (28.1km) が延伸開業し全通。福塩南線が新規開業区間と福塩北線(塩町駅 - 上下駅間)を編入し福塩線に改称。下川辺駅・河佐駅・備後三川駅・備後矢野駅が開業。
  • 1940年(昭和15年)2月1日:備後本庄駅が開業。
  • 1954年(昭和29年)4月10日:府中町駅 - 下川辺駅間が電化。
  • 1956年(昭和31年)12月20日:府中町駅が府中駅に改称。
  • 1961年(昭和36年)8月13日:福山駅 - 下川辺駅間の架線電圧が直流1500Vに昇圧。
  • 1962年(昭和37年)4月1日:府中駅 - 下川辺駅間の電化が廃止。
  • 1963年(昭和38年)10月1日:中畑駅・八田原駅・梶田駅が開業。
  • 1981年(昭和56年)2月11日:105系が運用開始。この結果当線に残っていた70系は同年3月1日で運用終了。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:全線の貨物営業廃止。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。
  • 1989年平成元年)4月20日:河佐駅 - 備後三川駅間が経路変更され営業キロが1.4km短縮。八田原駅が廃止。
  • 1991年(平成3年)4月1日:福山駅 - 塩町駅間が岡山支社から府中鉄道部の直轄に変更。府中駅 - 塩町駅間でワンマン運転開始。
  • 1992年(平成4年)3月14日:福山駅 - 府中駅間でワンマン運転開始
  • 1999年(平成11年)1月11日:井原鉄道井原線からの片乗り入れ開始。
  • 2002年(平成14年)3月23日:府中駅(構内のぞく)- 塩町駅間が岡山支社の府中鉄道部の管轄から、広島支社の三次鉄道部の管轄に変更。
  • 2008年(平成20年)6月:府中鉄道部が廃止され、福山駅(構内のぞく)- 府中駅間はせとうち地域鉄道部の直轄になる。 

駅一覧

便宜上、塩町駅側の全列車が直通する芸備線三次駅までの区間を記載。
  • 全列車普通列車(すべての駅に停車)
  • 線路(全線単線)… ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可
  • 全駅広島県内に所在
電化状況 路線名 駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 接続路線 線路 所在地 電化 福塩線 非電化
以下の駅をのぞいて無人駅である。

過去の接続路線

廃止区間

( )内は起点からの営業キロ ; 1935年12月14日廃止区間 : 両備福山駅 (0.0) - 胡町駅 (0.6) - 吉津駅 (1.2) - 横尾駅 (4.3) ; 1989年4月20日廃止区間 : 河佐駅 (0.0) - 八田原駅 (2.5) - 備後三川駅 (8.9)

廃止信号場

  • 高屋川仮信号場:1934年廃止、神辺駅 - 湯田村駅間(福山駅起点9.6km)

脚注

参考文献

  • 今尾恵介日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線 11 中国四国』新潮社、2009年。ISBN 978-4-10-790029-6。
  • 川島令三『山陽・山陰ライン 全線・全駅・全配線 (5) 鳥取・出雲・尾道エリア』講談社、2012年。978-4-06-295155-5。
  • 藤井浩三「中国地方ローカル線建設の歩みと蒸機」『蒸気機関車』NO.37、キネマ旬報社

関連項目

ケータイにアドレスを送信

クリップ